「ドラムが上手く叩けない…」
「思ったように手足が動かない…」
「ドラムの音量バランスが悪い…」
あなたはこのような悩みを抱えていないでしょうか?いろいろと原因は考えられますが、もしかすると、ドラムのセッティングが原因かもしれません。
ドラムの演奏において、ドラムのセッティングは超重要です。
なぜなら、ドラムの演奏は「セッティングの段階ですでに始まっている」からです。プロを含む上手いドラマーほど、自分のセッティングにこだわっているのはそのためです。
普通に考えて、自分にとって良いセッティングでなければ、自分の本来の演奏が出来るはずがありません。
ここでは、ドラムの完全初心者向けに、ドラムのセッティングの基本をまとめています。
「自分のセッティングは、本当に『自分に合ったセッティングなのか…?』」
今一度、考えるきっかけになれば幸いです。
この記事の目次
ドラムのセッティングの基本を知る前に
ドラムのセッティングの基本を知る前に、セッティングをきちんとしないとどうなるかを見てみましょう。
- フォームが乱れる
- 十分な音量が出せなくなる
- 音量バランスが悪くなる
- 音量をコントロールしにくくなる
- リズムが不安定になる
- 芯のある音が出せなくなる
- ミスしやすくなる
- 単純に下手に見える
- 演奏中に疲れやすくなる
- 見た目からして初心者丸出し
ざっと考えてみただけで、10個ものデメリットが挙がりました。
考えてみてください。
ドラムをちゃんとセッティング出来ていないというたった一つの理由で、上記のデメリットが生じるのです。
加えて、普段の練習効率も悪くなるほか、余計なクセがついて「下手になる練習」をしてしまう可能性もあります。
これってすごく恐ろしいことだと思いませんか?
さらに厄介なのが、自分が「下手になる練習」をしていても、それに気づけないことです。練習すればするほど下手になる。まさに悪循環。
それほど、ドラムセットのセッティングは非常に重要なことなのです。
ドラムのセッティングも練習の一つ捉え、ドラム初心者の方はまず「自分にとって正しいセッティング」を見つけましょう。
非常に重要なので繰り返しますが、ドラムのセッティングもドラムの基本的な練習のひとつです。
ドラムのセッティングに「基本」はあっても「正解」はない。
矛盾しているようですが、ドラムのセッティングに「基本」はあっても、「絶対にこれが正しい!」という正解はありません。
なぜなら「叩きやすいセッティング」はドラマーによって異なるからです。
そもそも一人ひとり体格が違いますし、演奏するジャンルや曲によってもセッティングは変わってきます。
極端な話、ドラマーの数だけセッティングがあるのです。
セッティングの基本をベースに、あなただけのセッティングを
ここで解説するのは、あくまでドラムのセッティングの基本です。
あくまで基本に過ぎないので、まずは基本となる形をベースに「あなただけの形」に仕上げていきましょう。
やり方はとても簡単。
基本となるセッティングを組み、実際にいろいろなフレーズを叩いてみて「こんな風にしたいな…」と思うところを調整していくだけ。
例えば、「8ビートを叩くときにスネアが叩きにくいな…」「もっとスネアを振りかぶってパワーが欲しいな…」と思う場合は、ハイハットやスネアの高さを調整してみる…というような感じです。
基本となるセッティングで叩いてみれば、
- もっとこうしたい
- もっとこんな風にならないかな
- こんな音を出したいな
など、色々と思い浮かんできます。
これを一つひとつ自分好みに調整していくような感じです。
くどいようですが、ドラムはセッティングひとつで大きく音が変わる楽器です。ドラム初心者のうちから「自分にとって叩きやすいセッティング」をマスターしておきましょう。
前置きが長くなりましたが、ドラムのセッティングの基本について詳しく解説していきます。
ドラムのセッティングの流れ。セッティングはこの順番で行いましょう。
ドラムのセッティングは、以下のような順番で行うようにしましょう。
- ドラムスローン(椅子)
- バスドラム
- スネアドラム
- ハイハット
- タムタム・フロアタム
- クラッシュ・ライドシンバル
この順番で行うことによって、無理なくスムーズに叩ける基本となるセッティングが出来ます。
では、一つずつ詳しく解説していきます。
ドラムスローン(椅子)のセッティング
いきなりですがスローン(椅子)の高さはセッティングにおいてめちゃくちゃ重要です。
ドラムのスローンの基本セッティングは、以下の3点です。これを参考に、セッティングしてみてください。
POINT
- スローンに座った時の膝の角度は90度より大きく
- 若干深めに腰掛ける
- スローンに太ももの裏が当たらないように注意!
基本となる形は、スローンに座った時に膝の角度が90度より少し広くなるくらいです。
座るときは、少し深めに腰掛けるのがコツ。
理由は、深めに腰掛けることで重心がブレなくなり、安定した演奏が出来るようになるからです。
ただし、深く座りすぎると太ももがスローンに当たり、バスドラが踏みづらくなってしまいます。
そうなるとパワーが落ちる原因になるので、太ももが当たらない程度の深さに腰かけてください。
ちなみに、スローンを高くしたときと低くしたときはそれぞれメリット・デメリットがあります。
ドラムのスローンのセッティングにて解説していますので、こちらを参考にしてください。
バスドラムのセッティングの基本
スローンをセッティングしたら、次はそれに合わせてバスドラムをセッティングしましょう。
バスドラムのセッティングの基本としては、以下の3つです。
POINT
- ビーターはバスドラムの中央に合わせる
- 楽な姿勢で叩けるか踏み心地を確認してみる
- 踏みづらい場合は、スローンの位置を調整してみる
まずはキックペダルのセッティングをします。
キックペダルをセッティングする際は、ビーターがバスドラムの中央に当たるようにセッティングしてください。
中央からズレてしまうと、ヌケのいい音が出せなくなります。キックペダルセッティング後は、実際に踏んで踏み心地を確認してください。
また、必要ならスローンの位置調整も行いましょう。
ドラム初心者さんによくある失敗が、バスドラムに体が近すぎるというものです。
バスドラムに近すぎると跳ね返ったビーターがスネに当たって痛いですし、何よりペダルを上手く踏むことが出来なくなります。
バスドラムのセッティングの基本について詳しく知りたい方は、ドラム初心者向け。バスドラムのセッティングの基本を参考にしてください。
スネアドラムのセッティングの基本
スネアドラムのセッティングの基本としては、以下の通りです。
POINT
- スネアの位置…スティックがスネアの打面の真ん中に来る位置
- スネアの高さ…へその下と自分の膝のちょうど真ん中あたり
- 位置・高さ調整後、打面を自分側に傾ける
バスドラムをセッティングした後は、まずスネアの位置を決めます。
スネアの位置は、スティックを構えた時、スティックの先がスネアの打面中央に来る位置です。スネアの位置を決めるときも、「自然な姿勢かどうか?」を意識してください。
次に、スネアの高さを決めます。スネアの高さは、へその下あたりが一般的です。
個人的には、へそと膝の間くらいの高さがおすすめです。そこから自分好みに調整してみてください。
最後に、自分側にスネアを傾けます。
水平にセッティングするドラマーもいますが、少し自分側(手前側)に向けた方がリムショットが叩きやすくなります。
スネアの詳しいセッティングについては、ドラムセットにおけるスネアのセッティングについて詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
ハイハットのセッティングの基本
ハイハットのセッティングの基本としては以下の通りです。
POINT
- ハイハットの位置は自然に左足が乗る位置
- ハイハットの高さはスネアと15~20㎝が一般的
- 位置・高さを調整したら「開き具合」の調整
まずは、ハイハットの位置からセッティングします。
スローンに座り、右足をバスドラムのキックペダルに乗せた後、左足が自然に乗る位置にハイハットを置いてください。
左足を乗せるときは、 足先だけでなく「足全体」をペダルに乗せるようにしてください。
位置を調整したら、スネアの高さに合わせてハイハットの高さを調整します。
一般的には、スネアの打面よりも15~20くらいの位置が、ハイハットをセッティングする際の目安とされています。
位置・高さを調整したら、最後に開き具合を調整しましょう。ハイハットの開き具合は、指2本くらいが目安とされています。
なお、ハイハットの高さ・開き具合の調整方法については、ハイハットのセッティングの基本に記載していますので、参考にしてください。
タムタム・フロアタムのセッティングの基本
ドラムセットの3点セット(ハイハット・バスドラム・スネア)のセッティングを終えたら、タムタム・フロアタムのセッティングを行います。
タムタムのセッティングは、以下の3つのポイントを守っておけばOKです。
タムタムのセッティングのPOINT
- タムタムのフープをバスドラムに接地させないこと
- タムタム同士をくっつけないこと ※離しすぎもNG
- タムタムに角度をつけすぎないこと
タムタムは左からハイタム・ロータムとなっており、一般的にはロータムからセッティングしていきます。
ロータムの高さ・角度を調整したうえで、左側のハイタムをロータムに合わせるというイメージです。
タムタム同士のセッティングは基本的に上記の3つを守っておけばOKですが、詳しく知りたいという方はドラムセットにおけるタムタムのセッティングを参考にしてください。
次に、フロアタムのセッティングについて解説します。
フロアタムのセッティングの基本は、以下を守っておけばOKです。
POINT
- スネアと高さを合わせる
- 叩くときにライドシンバルの邪魔にならないようにする
- 少しだけ自分側に傾ける
フロアタムの高さは、スネアの高さと同じ(または少しだけ低く)なのが一般的です。
極端に高低差をつけてしまうとリズムのヨレにつながってしまうので気を付けましょう。
また、フロアタムは位置的にライドシンバルの影響を受けやすいので、ライドシンバルの邪魔にならないようにセッティングする必要があります。
フロアタムのセッティングの基本については、タムタムと同じくタムタムのセッティングの基本で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
クラッシュシンバル・ライドシンバルのセッティングの基本
ドラムセットのセッティングでは、最後にシンバル類(クラッシュシンバル・ライドシンバル・スプラッシュシンバルなど)のセッティングを行います。
まずはクラッシュシンバルです。クラッシュシンバルのセッティングの基本としては以下の通りです。
POINT
- クラッシュシンバルの位置は無理なく手が届く位置
- 高さは目線より少し下が一般的
- 少しだけ自分側に傾ける
クラッシュシンバルはドラムセットに二枚セッティングされているのが一般的ですが、どちらも無理なく手が届く位置にセッティングしてください。
高さは目線より少し下程度が一般的とされています。
クラッシュシンバルを高くセッティングすれば、ドラムセットを派手に見せることができます。
逆に、クラッシュシンバルを低めにセッティングすれば、落ち着いたドラムセットを演出することができます。
このように、クラッシュシンバルはドラムセットのビジュアルを大きく左右しますが、優先すべきは「自分が演奏しやすいかどうか」です。見た目ばかりを気にしないように注意してください。
次にライドシンバルです。ライドシンバルのセッティングは、以下の3つを守っておけばOKです。
POINT
- 無理なく手が届く位置(カップも難なく叩ける位置)
- フロアタムに干渉しない配置
- 角度を傾けすぎないように注意!
クラッシュシンバルと同様、無理なく手が届く位置にセッティングしますが、ライドシンバルの場合は「カップまでしっかり叩けるか?」を意識してください。
カップとは、ライドシンバルの中央にある膨らんでいる部分です。
ライドシンバルは近づけると叩きやすくなりますが、位置的にフロアタムが叩きにくくなるので、フロアタムを意識しながら位置を調整していきましょう。
ドラムセットのシンバル類のセッティングについては、クラッシュシンバル・ライドシンバルの違いとセッティングで解説していますので、ぜひ参考にしてください。
ドラムのセッティングの練習から
ドラムのセッティングの基本について簡単に解説しましたが、ドラム初心者にとっては、やることがとても多いと感じるかもしれません。
しかし、回数を重ねていけば10分程度ですべてのセッティングを終えることができます。
慣れないうちは遅くて当たり前です。
面倒だからといって適当にセッティングするのではなく、 「ドラムのセッティングも立派な練習の一つだ!」と考え、一つ一つ丁寧に取り組んでいくようにしましょう。
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